日本刀と歴史

時代の流れを知る。後ろには必ず歴史があります。だから物の時代を知るということは結局そのバックを知り、歴史を知って、その歴史にあったような作品というもの、作刀というもの、それがその時代に本当に生きておったものだ、ということになるわけです。それから次は諸国によってそれぞれの流派というものがあるわけなんです。で昔から流派というものは古刀時代に五ケ伝というものがある。その一番古いものが大和、大和伝というものが一番古い。続いて山城。平安京に都を移し政治の中心、文化の中心ということになり」山城伝というものがある。それから備前という国は非常に良質の砂鉄の産出したところです。そいう関係で備前には非常な名刀ができた。それが備前伝です。鎌倉に頼朝が幕府を開くようになって、それまで文化の遅れていた地であった関東、その関東に刀鍛冶が移っていき、作刀するようになった。次第に一つの鎌倉様式というものができて、それが正宗によって大成する。これが相州伝です。美濃という国は今の岐阜県ですが、都から非常に近い。だから都との文化の交流が深い。そうして発達したのが美濃伝です。この五つが基本となって日本刀というものの発展、あるいわ進歩というものがずっと続いているわけです。