その昔、平安時代の武士は、日本刀を帯刀し馬にまたがっているような合戦のなかの戦士ではなく、職種で言えばどちらかと言うと芸能のジャンルでの活躍が数多くみられたようです。当時は「管弦」「和歌」「舞人」「陰陽」「医方」などの芸能が盛んであったなかで、武士たちの存在は芸能の一分野として認識されていたようです。争いが絶えなかった戦国時代などにおいても、武士たちは日本刀などを合戦の場で使う機会は少なく、武器として武士たちが合戦時に使用していたその大部分が弓矢などであったと知られておりますが、その他の農民兵士などにおきましても、刀剣ではなく槍や大きな石や小石などを「投石」をして戦いの場では武器として利用していたようです。現代にも伝わる「流鏑馬」は、神事として世界文化遺産にも登録され世界中の人々に認知される存在となりましたが、当時は武士の諸芸の1つでもあったようです。現在では、当時の武士たちの姿を垣間見るための貴重な文化遺産としてお馴染みではありますが、「流鏑馬」自体も合戦の場を再現するためのデモンストレーションではなく、あくまでも「武芸」というジャンルを再現しているように受け取ることができます。騎乗での弓の技術が諸芸の1つとしてデモストレーション化されたのは、古来から合戦の場では1対1としての戦いを挑んだファイティングスタイルが、当時の流れとして足軽や農兵とともに集団化したなかで鉄砲などの新しいスタイルの武器が出現したことから個人の弓術は「武芸」へとシフトしていったようです。
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