山鳥毛(さんちょうもう)は、日本刀に興味を持ち始めた方にもぜひ知ってほしい名刀の一つです。鎌倉時代中期、備前国(現在の岡山県)で活躍した一文字派によって鍛えられたこの刀は、華やかで美しい刃文と、力強さを兼ね備えた逸品として知られています。また、戦国武将・上杉謙信が所持していたと伝わることでも有名で、その歴史的価値は非常に高いものです。
そんな山鳥毛が近年、再び大きな注目を集めた出来事があります。それが「クラウドファンディングによる里帰り」です。山鳥毛は長らく個人の所蔵となっており、一般にはなかなか目にすることができない存在でした。しかし、瀬戸内市がこの名刀を“地元に取り戻す”ため、2019年にクラウドファンディングを実施。目標額を大きく超える約5億円を集めることに成功し、山鳥毛は晴れて備前長船の地に「里帰り」することとなったのです。
このプロジェクトは、刀剣文化に関心のある人々だけでなく、地域の歴史や文化財保護に関心を持つ多くの支援者の共感を呼びました。単に名刀を購入するのではなく、「地域の誇りを未来に残す」という強い思いが、多くの人の心を動かしたのです。実際に寄付を行った方々には、お礼の品としてオリジナルの山鳥毛グッズが贈られたり、報告会などのイベントが開かれたりと、参加者と地域のつながりを感じさせる取り組みも多数行われました。
現在、山鳥毛は瀬戸内市の備前長船刀剣博物館にて保存・展示されており、誰でもその姿を目にすることができます。美しい刃文や反り、そして長年にわたり守られてきた刀身の姿を実際に見れば、古の技術と美意識に自然と魅了されることでしょう。刀剣にあまり馴染みのなかった人でも、「なぜこれほど多くの人々がこの刀に心を寄せるのか」が、きっと感じられるはずです。
鎌倉時代の名刀「山鳥毛」は、上杉謙信ゆかりの刀としても知られ、2019年に瀬戸内市がクラウドファンディングを通じて約5億円を集め、地元に「里帰り」させたことで再び注目を集めました。この取り組みは、文化財の保存と地域の誇りを未来へつなぐ象徴的なプロジェクトとなり、現在は備前長船刀剣博物館にてその姿を直接見ることができます。刀剣と地域のつながりが新しい形で結ばれた、現代における文化継承の好例といえるでしょう。